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富田 純平; 竹内 絵里奈
Applied Radiation and Isotopes, 150, p.103 - 109, 2019/08
被引用回数:14 パーセンタイル:82.61(Chemistry, Inorganic & Nuclear)緊急時における作業者の内部被ばくを評価するために、尿中Sr迅速分析法を開発した。尿試料中のSrはリン酸塩共沈及びプレフィルター, TRUレジン及びSrレジンのタンデムカラムを用いた抽出クロマトグラフィーにより迅速に分離され、Sr濃度はトリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS/MS)により定量された。1mL minの酸素リアクションガス流量でMS/MSモードにより測定したところ、50mg-Sr Lまでは、m/z=90におけるSrのテーリングは見られなかった。m/z=90の干渉となるGe, Se及びZrは、化学分離により除去された。既知量のSrと1mgのGe, Se, Sr及びZrを含む合成尿(1.2-1.6L)を用いて分析法の妥当性を確認した。尿試料からのSrの分離及びICP-MS/MSによるSr測定に要する時間は約10時間、検出限界値は尿試料あたり1Bqであった。
富田 純平
ぶんせき, 2019(3), p.112 - 113, 2019/03
バイオアッセイ試料中の放射性核種分析は、従来、煩雑な放射化学分離及び放射線計測により実施されてきた。しかしながら、近年、抽出クロマトグラフィーレジンの登場やICP-MSの感度向上及び干渉除去技術の進歩により、分析が迅速・簡便化されつつある状況にある。そこで、バイオアッセイ試料分析の例として、尿中のPu同位体及びSr分析に着目し、従来及び最近開発された分析法について紹介した。尿中のPu分析法では、従来の陰イオン交換法と線スペクトロメトリーによる分析法及び最近発表されたTEVA, UTEVA, DGA resinを使用した抽出クロマトグラフィーと高効率試料導入装置を連結したSF-ICP-MS測定によるUを高濃度に含む尿中Pu迅速分析法を紹介した。尿中のSr分析法では、従来の発煙硝酸法によるSrの放射化学分離と線測定による分析法、TRUとSr resinによるSrの迅速分離と分離直後の線スペクトロメトリーを組み合わせた迅速分析法及びSr resinによるSrの分離とICP-MS測定を組み合わせた分析法について紹介した。
皆川 雅朋*; 岡田 靖*; 野内 健太郎*; 佐藤 泰彦*; 吉井 文男
Colloid and Polymer Science, 278(8), p.757 - 763, 2000/08
電子線照射によるアクリロニトリルの包接重合を-78の低温で行った結果、以下の事実が明らかとなった。(1)重合収率は線量とともに増加し、70%で一定値に達した。(2)立体規則性は、線照射の包接重と同じようにアイソタクチック構造のものが得られた。規則性は重合収率に依存し、収率20%で70%、収率60%で50%のアイソ構造である。これは線の照射よりも低い。(3)分子量は収率に対し、50%に極大が現れた。最大の分子量は1.210である。(4)分子量分布は線量の増加とともに広くなる。
橋本 和幸; 大森 巍*
Technetium, Rhenium and Other Metals in Chemistry and Nuclear Medicine, p.325 - 328, 1999/00
核医学の分野で幅広く用いられているテクネチウムは安定同位体が存在しない元素であるために、その化学的知見が限られている。テクネチウムの最も安定な化学種である過テクネチウム酸イオン(TcO)とチオ尿素の反応によって生成するTc(III)-チオ尿素錯体は、3価のTc錯体合成のための出発物質として応用されている。本研究では、TcOと5種類のチオ尿素誘導体(チオ尿素、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素及びテトラメチルチオ尿素)との錯形成反応を可視スペクトルの時間変化を追跡することにより、速度論的に解析した。その結果、2段階の反応が観察され、それぞれの反応の速度定数を求めた。さらに、反応機構及び反応速度に対するチオ尿素誘導体の置換基効果について検討した。
文沢 元雄; 稲葉 良知; 菱田 誠; 小川 益郎; 小坂 伸一*
JAERI-Tech 96-022, 82 Pages, 1996/06
本報告では、環境への二酸化炭素排出量の多い火力発電所の燃焼ガスを対象とし、核熱を利用して二酸化炭素を分離・回収する技術、回収した二酸化炭素を処分、再利用するプロセスの検討を行った。選定された再利用製品であるメタノール、尿素、エチレン及びガソリンを製造するプロセスのうち、需要面からガソリンのプロセスが有望と判明した。そこで、改良したエチレンプロセスとARCOプロセスの結合によりガソリンを製造する新プロセスを提案し、その実現の可能性を論じた。
米澤 仲四郎; 松江 秀明; 澤幡 浩之*; 黒沢 達也*; 星 三千男; 伊藤 泰男*
Cancer Neutron Capture Therapy, 0, p.221 - 225, 1996/00
高分析感度、低線バックグラウンドの中性子誘起即発線分析(PGA)装置をJRR-3M冷および熱中性子ビームガイドに設置した。本装置を用いたPGAにより、BNCT法による脳腫瘍の治療の際、血液、尿、腫瘍中のBの定量を行った。約1gの試料をFEPバイアルにとり、冷中性子又は、熱中性子ビームガイドで500~1000秒間即発線スペクトルを測定した。B 478keV、H 2224keV 線のピーク面積の比から試料中のBを定量した。本法は、JRR-2を用いたBNCT法による脳腫瘍の治療際の実際の分析に応用されており、本法のBの定量値により、中性子照射量が決められている。
吉井 文男; 幕内 恵三
JAERI-Conf 95-003, p.584 - 587, 1995/03
尿素は種々の有機化合物(ゲスト分子)を六方晶系のカナル内に取込んだ包接化合物を形成することが知られている。このカナル径は5~6のため、限られたゲスト分子しか包接できない。しかし、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)モノマーとの共存下で尿素と包接化合物をつくると、本来単独では尿素と包接化合物を形成しないものが、尿素カナルに取込むことができることが分った。この手法により香料や忌避剤をHDDAによりカナル内に取込み、照射を行うと、重合したHDDAの間にそれらが揮発することなく安定に包接できることが分った。
渡辺 智; 橋本 和幸
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Letters, 201(5), p.361 - 370, 1995/00
塩酸-TBP抽出系を用いたときの尿中のテクネチウムの溶媒抽出挙動を調べた。塩酸濃度1Mから5Mにおいて、尿を加えない場合よりも尿を加えた場合のほうが、テクネチウムの分配比は減少することがわかった。ペーパークロマトグラフィーにより尿中のテクネチウムの化学形を調べた。尿を加えた場合、過テクネチウム酸イオンは、塩酸の存在下で還元されることがわかった。溶媒抽出における分配比の減少は、過テクネチウム酸イオンの還元に起因していることが判明した。
新村 信雄*
ファルマシア, 30(4), p.400 - 401, 1994/04
糖尿病にかかった腱コラーゲンをNaBD,NaBCNDで重水素標識化し、中性子回折法で、重水素を同定することにより、コラーゲンの軸方向でのグリコシル化の位置を非破壊的に決定した。1)糖尿病腱コラーゲンは、正常腱コラーゲンよりグリコシル化を受け易い。2)N末端・C末端ともグリコシル化の初期過程は同程度であるが、25分後はN末端の方が多くなる。3)コラーゲンのギャップ領域でもグリコシル化を受ける。
橋本 和幸; 大森 巍*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Letters, 188(6), p.391 - 400, 1994/00
過テクネチウム酸イオン(TcO)とチオ尿素の反応によって生成するテクネチウム(III)-チオ尿素錯体は、テクネチウム(III)錯体合成の出発物質として応用されている。本研究ではテクネチウム(III)-チオ尿素錯体の生成反応について、可視スペクトルを追跡することにより、速度論的に解析した。その結果、2つの反応(初期反応および後期反応)が観測され、それぞれの反応の見かけの速度定数を求めた。それぞれの速度定数は、チオ尿素濃度の2次に比例していることがわかり、それぞれの反応の律速段階は、Tc(VII)からTc(V)およびTc(III)の還元反応であると結論された。
吉井 文男; 幕内 恵三
Macromolecular Reports, A30(SUPPL.1-2), p.127 - 135, 1993/00
従来尿素と包接化合物をつくる物質は尿素がつくるカナルの径が5であるためにごく限られたものしか包接化合物をつくらなかった。しかし、我々の研究において、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)が介在するとこれまで尿素と包接化合物をつくらない物質がHDDAによりカナル内に引入れられる。これを誘引剤、忌避剤、防殺虫剤を包接して尿素カナルから徐々に放出するか、また完全に封じこめるために、モデル化合物としてリーフアルコール(葉っぱの匂い)、(LEA)を使いHDDAとの包接化合物の熱安定性やカナル内からの放出性を調べた。熱安定性はLEAのOH基とカナルとの水素結合による相互作用によりHDDA単独よりも安定になる。LEA尿素混合物は15日で全部が揮発し、未照射カナルからは75日で揮散した。照射カナルは初期に揮発するが、その後は40%が重合したHDDAオリゴマーの間に包接される。その線量は30kGyである。
橋本 和幸; 工藤 博司; 大森 巍*; 吉原 賢二*
Radiochimica Acta, 63, p.167 - 171, 1993/00
テクネチウム(III)錯体は一般に置換不活性と考えられているが、テクネチウム(III)-チオ尿素錯体はテクネチウム(II)錯体合成の出発物質として用いられており、その反応機構の解明はテクネチウム(III)錯体の反応性の理解につながる。そこで本研究では、チオ尿素誘導体のテクネチウム錯体とピリミジン誘導体との反応について溶媒抽出法によって調べた。その結果、抽出挙動はそれぞれ(チオ尿素およびピリミジン)の置換基に大きく依存していることが認められた。さらに反応機構を解明し、その反応速度定数を求め系統性を明らかにした。
橋本 雅史; 和田 博之*; 大森 巍*; 吉原 賢二*
Radiochimica Acta, 63, p.173 - 177, 1993/00
ヘキサキス(チオウレア)テクネチウム(III)錯体との配位子置換反応により、代表的なポリアミノポリカルボン酸であるEDTAおよびHEDTAを配位子とした+3価のテクネチウム錯体を合成することができる。この配位子の置換反応に対する速度論および生成する錯体の組成という二つの視点から錯体の生成反応の機構を考察した。
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PNC TJ1262 92-001, 96 Pages, 1992/02
本研究は、放射性ヨウ素を含む廃棄物を安全に処分するための最終処分法を確立することを目的としている。一般に、ヨウ素のようなアニオンは、地下水環境下においては吸着され難く、カチオン性核種のように天然バリアーによる拡散遅延効果が期待しがたい。そこで、本研究では、人工バリアーとしてヨウ素吸着材の検討を行っている。本年度は、候補材として天然鉱物のシン砂、人工の銀チオ尿素添着モンモリロナイトおよび無機イオン交換体の3種類について、その吸着特性や吸着機構を検討した。また、漏洩防止という観点から疎水性のヨウ素固定化材についても検討した。その結果は次のようにまとめられる。1.シン砂の吸着機構1. 吸着温度が上昇しても吸着量が減少しないことから物理吸着ではない。また、共存イオン効果もないことから、イオン交換による吸着でもないと判断された。2. 平衡吸着量は、10-5mol/g程度であり、この吸着量はシン砂に含まれるHgSに比べて極めて少なく、また、ヨウ素がHgS試薬と反応しないこと及び元素分析の結果から判断すると、ヨウ素のシン砂への吸着はHg2Sのような一価の水銀化合物が反応して不溶性のHg2I2を生成するためと推定された。3. 地下水環境下においても、シン砂のヨウ素分配比(Rd)は、低濃度ならば約10,000であり、ヨウ素吸着材として十分に機能することが立証された。2.銀チオ尿素添着モンモリロナイトの吸着機構1. 元素分析やIR測定の結果、吸着材の調製に使用した銀チオ尿素錯体は、3分子のチオ尿素が銀にS配位していることが確認された。2. 本吸着材の吸着機構は、モンモリロナイトに取り込まれた銀チオ尿素錯体がヨウ素を吸着、またはチオ尿素が流出することによって生じる銀の加水分解種がヨウ素を吸着していると考えられた。3.無機イオン交換体の吸着特性本年度調製したハイドロタルサイト系の中で、Mg/Bi系の化合物が高いヨウ素吸着能を示した。ただし、地下水環境下では、共存イオンの影響を受けて、吸着率が低下する傾向があった。4.疎水性ヨウ素固定化材の特性接触角を粉末法で測定した結果、非常に濡れにくいことは確認されたが、水に接触した面からは、通常のヨウ化銀の溶解度にしたがって溶出が起こると推定された。
吉井 文男; 幕内 恵三
材料技術, 10(9), p.280 - 288, 1992/00
ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)は、単独では尿素と包接化合物をつくらないモノマーを包接化合物内に引入れ、そのモノマーとHDDAの2成分をゲスト分子とする尿素包接化合物をつくる。HDDAが種々のモノマーを引入れた包接化合物の共重合反応では、得られる共重合体の組成が、照射前の仕込みの組成と同じである。さらに、HDDAは香料や忌避剤を引入れた粉末状の尿素包接化合物をつくり、照射により、HDDAのオリゴマーの間に包接できる。この香料や忌避剤は、照射線量の調節により包接化合物中から徐々に放出でき、また完全に閉込めることができる。以上の引込み効果を、放射線共重合反応や徐放性粉体の調製に応用した結果を総説としてまとめた。
皆川 雅朋*; 宮野 和幸*; 森田 悌介*; 吉井 文男
Macromolecules, 22(5), p.2054 - 2058, 1989/00
被引用回数:22 パーセンタイル:72.35(Polymer Science)放射線照射による尿素包接重合法では、立体規則性に富んだポリアクリロニトリル(PAN)が得られる。この立体規則性PANのジメチルホルムアミド(DMF)への溶解挙動をレーザー光源を用いた濁度測定装置によって調べた。溶解温度(Tsol)は濁度が消失し、完全に透明な均一溶液が得られる温度として定義した。種々のタイプのPANのTsolは、分子パラメータの関数でまとめると、Tsolの値は立体規則性にのみ規定され、分子量による影響は比較的小さく、Tsolと立体規則性との間に定量的関係が見出された。さらに、温度を上げた時の溶解挙動の機構を熱力学的立場から考察した。
高田 和夫; 福田 洋; 服部 隆充; 赤石 準
Health Physics, 41(6), p.825 - 828, 1981/00
体内に取り込んだトリチウムの排泄は、水分摂取量に依存する。したがって体内汚染が起った場合、過剰に水分を摂取させることにより、内部被曝線量を低減させることができる。トリチウム汚染者(推定内部被曝線量約70ミリレム)について約50日間にわたり尿、唾液、呼気中のトリチウム濃度を測定した。また、この期間内に、1週間を単位として2回にわたり、1日当り1lの水分を過剰に摂取させ、その効果を調べた。この結果、トリチウムの体内残留半減期については、過剰水分摂取量から予想されるような減少はみられなかった。この理由は、過剰水分摂取のために、通常の水分摂取が抑制されるためと考えられた。
吉井 文男; 嘉悦 勲
高分子論文集, 36(1), p.61 - 63, 1979/01
被引用回数:0長鎖モノマーの尿素包接化合物に線を照射した後、種々の溶媒を添加して溶解処理を行うことによっておきる後効果重合について検討した。その結果、常温(25C)においても比較的粘度の高い溶媒を添加した場合は、冷却したメタノールを添加した場合よりも著しく後効果重合が起こり、重合率は100%近くに達した。これは粘度の高い溶媒の中で、カナルを構成する尿素が徐々に溶解するとともに解放されたモノマーの重合が起こるためである。そしてこの高い重合率は溶媒の粘度が高いために停止反応がおこりにくく成長ラジカルの寿命が長くなるためと考えられる。
吉井 文男; 渡辺 祐平; 嘉悦 勲
Eur.Polym.J., 15(4), p.323 - 324, 1979/00
被引用回数:3一連のガラス化性モノマーの重合反応の研究の際にアクリレートモノマーの重合の開始および成長ラジカルの同定が必要になってきたが、バルクだとラジカルが不安定なために同定がむずかしかった。そこですでに長鎖モノマーであるヘキサンジオールジアクリレートが尿素と包接化合物をつくり、後効果重合することを見出していたので、これを使って、後効果重合と関連ずけて、アクリレートラジカルの同定を行った。25Cの照射で水素付加型のESRスペクトルの分離のよい5本線の開始ラジカルがみつかり、それは、70Cに昇温したときに3本線の成長ラジカルに変わった。ラジカル濃度の温度依存性は、包接化合物の分解温度(90C)では速やかに減少するが、それ以下の温度ではきわめて長い時間成長ラジカルが観察され、尿素カナルの壁の保護効果がきわめて大きいことが分かった。さらにその減衰曲線は後重合挙動とよく対応し、重合をよく説明できた。
吉田 芳和; 矢部 明; 岸田 昌美
Proc.Int.Symp.on Behaviour of Tritium in the Environment, p.613 - 622, 1979/00
原研には重水減速冷却炉JRR-2,3があり、重水の放射化により生じたトリチウム(HTO)が漏洩し、しばしば、作業環境の空気汚染、表面汚染の原因となる。また加速器で取り扱われるトリチウムガスターゲットにより、これらのガス(HT)が漏洩することもある。本報告では原研で用いられているトリチウムに関する放射線管理技術(空気汚染、表面汚染の測定技術、尿分析、呼気測定の技術等)を紹介したのち、これらによる管理から得られた経験を次の三点について取り上げ報告する。すなわち、(1)空気汚染測定と尿分析の関係…両者からそれぞれ別個に推定した被曝線量はかなり良い一致を示した。(2)呼気測定と尿分析の関係…吸入直後の呼気測定の値は尿分析のそれより高い値を示すが、数時間後では両方の値はほぼ等しくなる。(3)生物学的半減期…原研の汚染者38例についての観測値は、9.84.1日で、ICRPの値10日とほぼ一致していた。